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カオスなのか健全化に向かってるのか

 私が四十路に一を足す積年に至ってまもなく、何やら日本国内でとんでもない災害が生じているらしいとの一報がメディア各方面を駆け巡り、ほどなくまるでSFXのような映像がバンクで流れる他は、報道フロアーでのベタ張り付きがテレビ画面を占めるようになりました。

 それから大規模な津波やまるごと崩壊した街々、そして原発の爆発という有り得べからざる映像が画面をにぎわし、ニュースキャスターの深刻でテンパッた顔からCMに入ることもなく、まさしくテレビの編成は緊急事態という言葉がふさわしい有様でした。

 それから二日ほど経ってようやくAC公共広告機構のPVが流れるようになり(キャスターは出ずっぱりだと多大な疲労とストレスがかかるのです)、原発関係以外は少し落ち着いてきたかな、と思ったら、一週間も経たないうちに商業CMとバラエティーが復活し、昨日あたりから放送時間の1/8ほどは、CM以外は通常に近い放映形態に戻ったようです。

 もとより私も、不謹慎だから自粛などそれこそ不謹慎、惨事だからこそ早期に経済を回す施策をはかれば復興も早められる、という持論ですので、報道onlyより通常放送に編成が戻りつつあるというのは喜ばしい事態でした。
 しかし、そうなると地震の影響でコンテンツ全体のストックが少なくなり、多少「いわゆる不謹慎」に思われても先週放映予定の番組を流すより他にない、ということで、抑えてはありますがノリ自体も本放送に近くなってまいりました。

 そんな中でも「これはとんでもなく微妙で面白い」と感じたのが、先週は飛んでしまったBS11のアニメ、「お兄ちゃんのことなんかぜんぜん好きじゃないんだからね!!」でした。
 その直前にCSで「続・夏目友人帳」を観ていて、これこそ「今すぐただちに」のみならず、今の日本を生きる若者総員が観ておいてよい優良コンテンツだ、などと感慨を抱いたのですが、そのすぐ後に「お兄ちゃん」です。

 その手の話は往々にして、後々に人の絆とか、人同士が結び付く難しさを訴える内容に帰結するものですが(「そらのおとしもの」などは好例)、この「お兄ちゃん」からは、ひたすら青少年と一部のおっきいお友達のリビドーを加速させる内容しか見出せないのです。
 「不謹慎」「くだらない」という言葉を安易に羅列することを、私は作品論評を行う上で禁じ手にしているのでどう分析しよう、と考えたところ、どうも男女共学とか男女共同参画とかお題目を掲げてる割には、みんな異性との接し方がわからないのではないかと、そこで根拠なくモテまくる男主人公を据えて、両性の互いの欲望が衝突するサマをキャッチーに映し出すより表現のしようがないのかな、などとも考えてみました。
 ライトノベルを単なるやる気のない若者の捌け口の一つ、とドグマティックに規定する論者は自身の読み込みの浅さを自覚した方がいい、などと私も考えていましたが今や、他のメディアからアニメされた作品のすべてが佳作以上のものばかりでない、むしろ佳作にとどまってることさえ既に価値がある、という方向性で以って認めざるを得ない、そういう段階にまで日本の映像コンテンツ産業は惨状を来たしているように思われます。

 いつもの重機で掘り起こすような分析になってしまいましたが、今回は本来、こんな番組が被災よりほど立たず流れるのはカオスな状況になっているのか、それとも要らないタブーを設けない健全な方向に向かっているのか、という話を展開する予定でした。災厄を紛らそうと当ブログに立ち寄っていただいた方、まことに申し訳ありません。

 本当ならば、原発のアレについての意見をかなり忌憚なくダダ並べなどしたかったところでしたが、この件に関しては後々、別のフォーマットで別の切り口を用いて何らかの表現物を提示しよう、と考えておりますので、しばしお待ちを。

 この処の私自身はというと、この際ゆうことでテレビやネットにかじりついてばかりでなく、ここんとこ結構外に出て、少なからぬ仕事案件をきっちりこなしてました。だから今はけっこうヘロヘロです。
 それにいま私が出来る限りの援助も、惜しみなく続けています。
 今のところ原発以外の初動対応が功を奏し、「ヤシマ作戦」などの民間協力も後押しとなり、次の段階へ移行して支援の体制固めに焦点が集まっているところですが、どうしてもネックは原発、ということになってしまいます。
 次に私が動くときは、本当に痛烈にやるつもりです。キーワードは「計画停電」です。請うご期待。では。

  by miyazawa_hideo | 2011-03-19 03:31

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